「坪単価」と「見積書」の秘密


坪単価症候群

 

住宅を購入するとき、ほとんどの方は「坪幾らですか?」と質問をされます。

確かに予算が合ってのお買い物です。価格も分からずに購入する人はいないでしょう。坪単価とは、一体何なのでしょう。

これは住宅の価格を総面積で割り算したものです。つまり、総面積が40坪の住宅が二千万円で販売されていたとすると、価格が二千万円ですから、40坪の面積でこれを割り算すると、坪あたり50万円となります。(ちなみに一坪とは約3.3平方メートルで畳だと約2畳分です。)

住宅の価格はその建築の工法に関係なく建物そのものを構成する本体、外壁や屋根材。電気や水道、ガスなどの「ライフライン」と呼ばれる配管や配線、それにお風呂や流し台、洗面化粧台などの水周りといわれる、衛生設備機器、それに内部の床や壁の仕上材料、建具と呼ばれるドアや窓で構成されています。(実際にはもっとありますが・・・)

実に数多く、これから住宅を購入しようとする人には何を基準に、そう選択したらよいのかわからないとしても無理はありません。

住宅販売の広告を見ると、家本体のPRより(どういうつくりか等)流し台や、お風呂などの設備機器を中心とした広告が多くみられます。

住宅を安く見せようと思えばお風呂や流し台、洗面化粧台などを少しグレードの高いものにして、そこに注意を引き付けるのです。

これは消費者が一番気にするであろう部分をことさらクローズアップして広告、宣伝しているのです。

住宅は、坪単価の面積に掛け算して総金額が出てくるものではありません。坪50万と言われた住宅よりも、坪35万の住宅の方が良い流し台が入っていたということだけでは、住宅全体の価格は評価できないのです。

住宅のバランスは全体のバランスが大事なのです。坪単価というのは結果論です。

「坪単価」という価格基準や、選択基準しかもっていなければ、住宅業者にとって「おいしいお客様です」なぜなら、安ければいいわけです、安ければ・・・

安さの基準とは、同等品質のものを比較しなければ語れない話なのです。

 

見積書も見分け方

家を建てる時に、必ず見積書をもらいますよね?このお見積書にも実は見分け方があります。

海外住宅先進国の多くは、住宅の見積書の内容について「原価公開」という方式をとっています。

この理由の一つには、「セルフビルド」つまり自分で家を造ってしまう事が出来る法律やノウハウ、更にはホームセンターの普及などにあります。

プロに家の建設を依頼するということは、自分で造るより「上手い、安い、早い」からだと考えています。

自分で造るシステムが確立しているからこそ、その部材の仕入れ価格や手間賃を知る権利があります。

もし建設会社が仕入れてくるものが、自分が仕入れてくるよりも高い価格であれば自分で仕入れて業者に支給するという方法がとられます。

一方建設業者は、長年の信用と実績で素人が仕入れるよりは、低価格で仕入れることが出来るのが普通です。

だってプロなのですから・・・

この時建設業者が提示する「仕入れ価格」とは単純に「仕入れ値」そのもということではなく、仕入れに関する手間や材料のロスなどを参入したもので提示されます。また「手間賃」や「利益」も別々に提示されます。

手間賃とはその作業に関わる人の賃金のことです。当然建設会社は利益を出すことが必要となるので別途、「利益」を計上することになるのです。

住宅の見積もりは、利益を含めて原価を公開することがお互いの利益になるのです。

良心的な見積もりであれば、根拠のない値引きはあり得ません!

根拠のない値引きは、元々その価格が上乗せになっているか、材料や職人の手間を削ることになるために良質な住宅を造ることが出来ません。

だって、その建設会社が正直者で、本当に書いた見積書であれば、それ以上価格が削られたら経費も利益も出ないことになり、保証はおろか完成までもこぎつけられなくなってしまいます。

このことは、建設会社の生命線となります。やたら値引きに応じる会社ほど危険です。

良心的な建設会社であれば、お互いに了解のもとでの、材料や形状、仕上げの方法を変更するなどして、納得出来る理由を提示して価格の変更を行うことが可能であり、王道です。

 

損をしない家づくり