ハウス55計画


今回は「ハウス55」計画のお話しです。

今から40年以上前の、1975(昭和50)年から5年間、建設省(現国土交通省)と通産省(現経済産業省)が共同で行った、高品質・低価格の工業化住宅の開発計画の事で、両省は55年をめど(ハウス55の名称の由来)に100㎡(約30坪)の住宅を500万円台で供給するシステムを作ろうという計画のことです。当時このプロジェクトに参加した企業は100社以上有ったが実際に商品化出来たのはほんの数社しか無かったとされています。

 

ちなみに、ラーメンの価格が1980年(昭和55年)からの値段の推移は次の通り。1980年―233円  1985年―310円→1910年(平成22年)は594円でした。2017年のデータはまだ発表されませんがおおよそ650円~700円 位でしょうか?これはハウス55は、つまり1980年の約3倍近い価格です。

 

一方住宅価格はどうでしょう?500万円台と言うことは599万円も含むことから、約600万円として30坪で割り算をすると、坪あたり20万円と言うことになります。

単純にラーメンの値段とは比較になりませんが、10年ほど前のデータによれば全国平均の注文建築の平均価格は40坪で約2400万円(諸経費別)でした。

 

本来工業化された住宅(一般にプレハブと呼ばれる)の方が価格が安いはずだったのにも関わらず、一般の工務店が入念に造る注文住宅よりも高い物になっています。

これは住宅価格を安くするはずだった大規模な生産設備や、沢山の人員の投入をしたために皮肉にも低価格では提供できなくなってしまったのです。

 

その隙を突いて出てきたのが世に言う「ローコスト住宅」です。今までに何度もお話ししてきましたが、ローコストとは、仕入れ価格も含めて製造原価が安いことをいいます。

国が定めた建築の決まり事(建築基準法)では、一部屋にコンセントがいくつとか、物入れは何平米必要かなどといった使いやすさ(機能といいます)の事は定めていなくて、構造的な面や日当たりなどの健康を確保する為の最低限の基準を定めているだけなのです。

 

ハウス55計画でクリアーをした2~3社の住宅メーカーでさえ、40年近く経過した今そのときの3倍の価格でも造ることが出来なくなっています。

 

今から25年ほど前に初めて「ローコスト住宅」と言う言葉を全国に広めた人たちがいます。その教祖とも言うべき人や 関係者の方を知っていますが、話を聞けば聞くほど合理的な理由があって原価が下がると言うより、必要最低限の使いやすさや、とっても安く仕入れることの出来る住宅設備の写真を大きく掲載して、流し台のメーカーなのか住宅会社なのか分からないような広告手法でお客を引き寄せる事が「ローコスト住宅」の真髄だとしか聞こえてこないのは私の目や耳或いは脳に異常があるのでしょうか?

 

しかし、その家が完成し引き渡しを受ける頃には地元に昔から有る、普通の工務店が造る普通の家とほぼ変わらないどころかもっと高い価格になっているのが落ち着く先です。なぜ社会問題にならないかと言えば比較的早い段階で、その内容を説明しこれはついています、これは別料金ですと説明をされるからです。始めて家を建てる人はそんなものなのかと何の疑問も感じません。

 

私は30年以上、この業界にいますが看板や広告に書いてある金額で家を建てたことがある人に出会ったことがありません。となり近所にある工務店でも諸経費や付帯工事は別途なるのが普通ですが、建築費総額が当初の何倍にもなってしまう事は滅多にありません。

 

「ローコスト住宅」ではこの滅多に起こらないことを日常茶飯事的に行わないと採算がとれません。これから住まいを計画されているお知り合いなどがいましたら、「ハウス55計画とラーメンの話」を思い出して下さい。

その家は「どんな理由で安いのですか?」自問自答してみることをお話ししてみて下さい。

 

勿論、世の中には大変な努力をされて本当のローコスト住宅を提供している業者さんもいますが、残念ながらローコストで造ることより、ロープライスに見せる事に優れている業者も数多くいます。

良質な住宅を少しでも低価格(適正な価格)で造る、万人が納得できる「科学的な理由」というのは確実に存在します。2018年もこのテーマにチャレンジしてゆきますので宜しくお願い致します。

 

 


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